「ひとり広報」の著者 北野由佳理さんに聞く 「ベンチャー・スタートアップが持つべきメディアリレーション実践法」
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2024年11月28日(木) MBS会議室にてREACH REACH会員社様向けのセミナー「ベンチャー・スタートアップが持つべきメディアリレーション実践法」を開催しました。 「ひとり広報」の著者である株式会社プレシャスパートナーズの北野由佳理さんを迎え、これまでどのような活動を行ってメディアとの関係性を築いてきたかをお話しいただきました。
「広報に決まった正解はなく、100人いれば100通りの方法がある」
近年、企業の成長における広報活動の重要性が認識され、人手の少ないスタートアップ企業が広報をおくことが多くなったことで、一人で企業広報全般を担う「ひとり広報」が増えています。現在は経営戦略・広報部門の責任者をつとめる北野さんですが、今の会社で広報を立ち上げたときは未経験からのスタートでした。
セミナーの最初に「広報の仕事は経営課題を解決し、ファンをつくることです」と北野さん。
続いて周りから相談を受けることが多い「広報のよくある悩み」が紹介されました。
「広報活動の正解がわからない」
「社内に理解者がいない、経営陣に広報の理解者がいない」
「メディアと知り合い、関係性を築く方法がわからない」 など…
スライドには、まさに本日参加されている皆さんが抱えている悩みが並んでいました。
「広報に決まった正解はありません。最も大切なのはどんな場面でも誠実であること、そして、一人だからこそ自ら行動を起こし行動し続けてつながっていくマインドを持つことです」と北野さんは力強く話し、その悩みを一つ一つ、ご自分の経験も元にして紐解いていきます。
北野さんが未経験から始めたときに取り組んだのは「経営者・会社を知ること」「経営課題を知ること」でした。
広報は誰よりも会社のことを知っている必要があります。
経営者に広報の最大の理解者になってもらう重要性や、社内での理解を深めるために北野さんがどのような活動をしたか紹介されました。
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メディアだけではなく、横のリレーションもつくる大切さ
社外の広報活動では、メディアとのリレーションの前段階として親和性がある企業同士での広報がつながることで生まれるメリットの大きさを説明。
どうやって他社の広報とつながりを作って関係を深めていくのか?タッグを組んで活動を行うことでどんな展開が?競合するデメリットはないのか?
北野さんの経験も交えて、どんどん話が深まっていきます。
そして参加者が一番知りたいメディアリレーションの話題へ。
スタートアップ企業がメディアに取り上げてもらうには大企業よりはるかに多くのハードルが存在しています。メディアの方と知り合って終わりではなく良い関係性を築き続け、露出機会を活用するために押さえておきたいポイントとは?
「思い出してもらえる存在になる」「また会いたくなる広報を目指す」など「雑談」をも大きなチャンスに変える北野さんの巧みな活動方法に、参加者はメモを取りながら聞き入っていました。
メディアへの露出方法は「新サービスのご紹介」のような性質のものだけでなく、切り口を変えれば「つくる」ことも可能だと北野さん。
一例として、業界最新動向からニュース性のある記事を北野さんからメディアへ提案し、その有識者枠で自社代表のコメントの掲載に至った事例を解説。このような提案は雑談や広報仲間の情報共有がきっかけとなっていることも多いと話され、あらためて「横のつながり」から生まれる効果の大きさが実感できます。
また自社のサービスに第一想起を獲得するため、パッとサービスが理解できるキーワードをつくり戦略的に発信した例もあわせて紹介。単なる露出ではなく、世の中にわかりやすい伝え方をデザインして経営課題の解決に寄与できることも広報の仕事の一つだと北野さんは言います。
最後は最初と同じ「広報の仕事は経営課題を解決し、ファンをつくることです」との言葉で締めくくられました。
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続いて質疑応答タイムへ。北野さんのパワフルな活動ぶり、そして語られる情報量の多さに、皆さんしばらく圧倒されていましたが、徐々に質問が投げかけられました。
「リレーションがない人がまずやるべきことは何ですか?」
「雑談はどんなタイミングでするんですか?ある程度知り合ってから?」
「全てやったら時間が足りない。初手でどこを掘り下げるのか、それをどうやって見極めたらいいか?」
親和性の高い企業数社でニュースをつくって提案するのは新しい気づきでさっそくチャレンジしてみたいという声もあり、すぐ行動できるヒントが満載のセミナーだったのではないでしょうか。
REACH REACHは、マーケティング・ブランディング・PR戦略の観点から「自らの発信力を高める場」を提供しサポートいたします。今回のセミナーの様子は、REACH REACH Communityにてアーカイブ動画をご覧いただけます。