REACH REACH ワークショップで築いた社内の一体感
株式会社ローカルフラッグは、京都府与謝野町を拠点に「持続可能な地域づくり」を実現するローカルベンチャー企業です。同社は、与謝野ホップを使用したクラフトビール「ASOBI」の製造・販売を手がける「ビール事業」と、移住定住サポートや地元企業の跡継ぎ支援を行う「地域プロデュース事業」の二軸を展開しています。 昨年、REACH REACH主催のワークショップを開催。ワークショップでは、社員が会社や商品についての共通理解を深めるために、ディスカッションを行いました。ワークショップを通じて得られた成果や変化とは? 今回は、代表取締役の濱田 祐太(はまだ ゆうた)さんとビール事業担当者の野村 京平(のむら きょうへい)さんにお話を伺いました。
街の資源を活用したクラフトビール「ASOBI」
——自社の事業内容についてお聞かせください。
濱田さん:当社は2019年に創業し、「地域の旗振り役になる」という経営理念のもと活動しています。創業当初から地方自治体や地域金融機関と連携して、移住定住支援や地元の跡継ぎ育成、新入社員教育など地域活性化を目的とした事業を行ってきました。 その過程で、自らが収益を上げられる事業を作ることが重要だと考え、2020年12月に地元与謝野町で栽培されたホップを使用したクラフトビールの開発を構想しました。
——どうしてクラフトビールの開発を始めようと思ったのですか?
濱田さん:「地域の資源を生かして地方創生を」という思いから、与謝野ホップを使用したクラフトビール「ASOBI」を作りました。一般的には乾燥ホップを使用しますが、生ホップを使用していることが最大の特長です。保存性は低下しますが、生ホップは豊かで爽やかな苦みと香りという価値を生み出します。この製法のクラフトビールは全国でも珍しく、大きな魅力を提供できていると実感しています。
——「ASOBI」はこだわりのつまったクラフトビールなのですね。他にもこだわられたところはありますか?
野村さん:クラフトビールの販売方法には、特にこだわりました。 通常、クラフトビールは「常温保存」と「冷蔵保存」の2種類に分かれます。当初は冷蔵保存のクラフトビールを販売していましたが、製造ロットが3000本で保存期間が4ヶ月、販売価格は1本あたり税込715円でした。この冷蔵保存方式だと扱いづらく、お客様からもそのような声が寄せられました。 大手飲料メーカーやクラフトビール市場を見ると、300〜400円程度で常温で販売される商品が一般的です。私たちも同価格帯で提供できないかを模索し、製造を委託する醸造所を変更することにしました。製造ロットが10000本に増えたことで在庫リスクやキャッシュフローの懸念がありましたが、常温環境にて8ヶ月間の保存が可能になり、販売価格も1本あたり税込435円まで引き下げることができました。 これにより、販売エリアや取り扱い店舗数が拡大し、より多くのお客様に商品を提供することができました。現在、京都を中心に全国500店舗での販売を行っており、オンライン販売も展開しています。
REACH REACH主催のワークショップを実施 社内に一体感が生まれた
——続いて、REACH REACHとの繋がりについてお伺いします。まずは入会したきっかけを教えてください。
野村さん:私の学生時代の友人がREACH REACHの事務局メンバーで、入会を勧められたことがきっかけです。ちょうどその頃、今後事業を拡大していくためには、ブランディングの強化が競争力につながると考えていました。マーケティングやブランディングの専門家からアドバイスを受けたいと思い、参加を決めました。
——昨年、REACH REACH主催のワークショップを実施されましたが、どのような経緯で実施されたのでしょうか。
野村さん:当時、社内では「ASOBI」に関して配送スタッフと私たち現場担当者の間に認識のずれが生じ、それぞれが異なる方向を向いていました。そこで、社内での目線合わせが必要だと考え、REACH REACHに相談し、社員全員が参加するワークショップを実施することになりました。
——ワークショップでは、どのようなことが行われたのでしょうか。
野村さん:まず、社員全員が「ASOBI」の特徴や強み、存在価値について共通の理解を持つために、ブランドストラクチャー<図1>を構築し、ディスカッションを行いました。また、REACH REACHから事例を共有してもらい、他社がどのようなブランド戦略を展開しているかを知ることで、より広い知見を得ました。社員全員で自社の取り組みについて整理することにより、目標の一致を図ることができました。 そして、ワークショップで決めた価値をもとに、新しく立ち上げる店舗<※1>のロゴやWEBサイトの制作が始まり、現在も完成に向け取り組んでいます。
<※1>TANGOYA BREWERY & PUBLIC HOUSE(タンゴヤ ブルワリー&パブリックハウス)…「ASOBI」を提供した飲食店
——実施後、社内で何か変化はありましたか?
濱田さん:ワークショップを通じて、社内に一体感が生まれたことを実感しました。社員全員が主体性を持つようになったのが大きな成果でした。
野村さん:ワークショップを実施したことで、社内でのコミュニケーションが活発化しました。その結果、配送スタッフから「お客様により良い商品を届けるために、梱包資材を変えませんか」といった提案が寄せられ、社員が会社や商品により愛着を持つようになり、団結力が一層強まったと感じています。
――実際に成果を感じられたことは素晴らしいですね。REACH REACH主催のワークショップを通じて、ブランディングやマーケティング分野の専門家の視点が取り入れられたことで、得られたメリットはありましたか?
濱田さん:今回のワークショップで、自社の取り組みを整理し、言語化することが非常に重要だと感じました。私たち自身ではなかなか気づけなかったことや、先送りにしていた部分があったので、それらが整理されて良かったです。
野村さん:私たちが伝えるのと、専門の方が他社事例や時代背景を含めて伝えるのでは社員の受け取り方が全く異なります。誰が何を言うか、どのように伝えるかで、人の考え方や行動が大きく変わることを実感しました。また、プロジェクトの進行管理においても、「これはいつまでに達成したいですね。そして、次の段階では〇〇が必要ですね」というような指示をいただけたので、私たちだけでは重要なことの優先順位を上げるのが難しく、プロジェクトが遅れることが多かったのですが、その点も改善されたと感じています。
――今後の展望をお聞かせください。
濱田さん:街を代表する企業として、ビール事業をさらに拡大していきたいです。そのためには、「ASOBI」の商品ラインナップを増やし、輸出市場への進出も視野に入れています。さらに、自社の醸造所を稼働させ、高価格帯の商品も生産していきたいです。 事業を拡大させることで、街の発展に貢献したいと考えています。
――その目標を実現させるために、今後REACH REACHをどう活用していきたいですか。
濱田さん:何をするにしても、「どのように発信するか」はすごく重要です。事業をより拡大するため、今後もREACH REACHの皆さんにPRやマーケティングのアドバイスをいただきたいと思っています。 関西のスタートアップ企業は、絶対に参加した方がいいと思います!
――ありがとうございます。REACH REACHはマーケティング、ブランディング、PR戦略の観点から、「自らの発信力を高める場」を提供し、サポートいたします。今後もさまざまな取り組みを計画し、皆様に満足していただけるよう努めますので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。引き続きREACH REACHをよろしくお願いいたします。