TOPICS

ハードシングスを乗り越えてIPO、その先へ!~セーフィー株式会社佐渡島代表

2023.03.15 #REACH REACHイベント
ハードシングスを乗り越えてIPO、その先へ!~セーフィー株式会社佐渡島代表

2023年3月9日にMBSちゃぷらステージにて、セーフィー株式会社代表の佐渡島隆平氏によるセミナーを開催しました。

佐渡島氏は大学在学中に講義ノートを集約するサイト「Daigakunote.com」を立ち上げ、2002年にソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社に入社。2014年に独立し、クラウド録画サービスを提供する「セーフィー株式会社」を創業しました。
「映像から未来をつくる」をビジョンに掲げて、新たな価値を届けるサービスを展開。例えば飲食店の空席や、小売店でのレジの混雑状況などを把握し、業務やオペレーションの改善を推し進めるなど、さまざまなDXを実現しています。

  

佐渡島氏は大学在学中に講義ノートを集約するサイト「Daigakunote.com」を立ち上げ、2002年にソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社に入社。2014年に独立し、クラウド録画サービスを提供する「セーフィー株式会社」を創業しました。「映像から未来をつくる」をビジョンに掲げて、新たな価値を届けるサービスを展開。例えば飲食店の空席や、小売店でのレジの混雑状況などを把握し、業務やオペレーションの改善を推し進めるなど、さまざまなDXを実現しています。

セーフィー株式会社は2021年に東京証券取引所グロース市場に上場しています。セミナーでは「しくじり先生~ハードシングスを乗り越えIPO、その先へ!」と題し、IPOを果たすまでの体験談を赤裸々に語ってもらいました。

大企業とゼロからクラウド録画のマーケットを作り成長

講演は、今や年間100億円の売上を誇るセーフィー株式会社がPMF(プロダクトマーケットフィット)を達成するまでの話を中心に展開しました。

創業当初、佐渡島氏らは、映像をクラウド化できる家庭用防犯カメラを、クラウドファンディングサービス「Makuake」で販売します。目標金額は達成したものの、ハードウェアの不具合が見つかり、その後はカスタマーサポートに追われる日々でした。その最中、ある建設会社から通信障害に関する問い合わせが入ります。

家庭用として開発したはずのカメラが「ソフトウェアが使いやすく、カメラの映像が美しいので施工管理に使える」という理由で、事業利用されていると佐渡島氏らは知り、大きな可能性を感じました。

  

通信障害は解決しましたが、今度はその建設会社を通してカメラの存在を知った公共機関から大量発注が入ります。在庫数やWi-Fiの不具合など問題は山積みでしたが、ひとつひとつの課題を現場に足を運んで愚直に解決し、納品を完了しました。

その後もルーターの購入やカメラの小型化などの必要性に駆られ、資金面で何度も窮地に立たされますが、大企業や銀行とも協力し、売り上げを伸ばしてIPOを達成します。



IPOに不可欠!長期的な成長をともに楽しめる仲間作り

佐渡島氏は、IPO成功についていくつかポイントを挙げました。

・企業はいい商品・サービスがあってこそ、社会にとって価値となる。PMFを達成するまでは販売規模などを拡大せずプロダクトに注力すべき。

・長期的な成長をともに楽しめる仲間作りが重要。資金調達に苦労したときも、仲間が一緒に走り回ってくれ、ピンチを乗り越えられた。/p>

・流通をばかにしてはいけない。事業は「いいものを作る」だけでなく「消費者に届けてナンボ」。セーフィーのサービスは、大企業とタッグを組み、流通ルートを確保し成長した。

・CEOは「企業ビジョンの達成」、CFOは「IPOを目指して動く」など役割を分担するべき。

・スタートアップのプロダクトは改良を前提とし、スピード感を持って顧客と一緒に作り上げる。佐渡島氏は、最初に開発した500台のカメラを「捨ててもいい」覚悟で準備した。

上記の中でも、佐渡島氏が最も大切だと考えるのは「仲間作り」。ベンチャーキャピタルを使わず、銀行や大手企業と協業を通じて新たな市場を開拓したことが、成功の鍵だと語ります。

注目の起業家とのトークセッション

セミナー後は、佐渡島氏と同じ兵庫県出身の、株式会社i-plug代表取締役CEO・中野智哉氏が登壇。トークセッションは、皮膚科・整形外科の診療プラットフォームを開発する株式会社Genon代表取締役・高原千晶氏が両者に質問する流れで進みました。ここでは内容をいくつかピックアップして紹介します。

  

会社のファウンダーと初期の採用戦略について教えてください

佐渡島氏「セーフィーは、ソニーからカーブアウトした会社で出会ったソニー出身エンジニアの2人と、私の3人で起業しました。3人とも強みが違うので、それぞれの目指す世界や得意分野を話し合って今の事業が生まれました。
立ち上げ期は「今、必要な人だけを採る」ことに専念しました。友達が多い人を採用基準に入れていなかったことは後悔していますね。経営メンバーに友達が多ければ、リファラル採用ができるので (笑)」

中野氏「i-plugも創業メンバーは3人で、MBA取得目的で通った大学院の同期です。セーフィーさんと同様、前職も強みも異なると役割も明確に分かれるので、良かったです。初期はリファラル採用が中心で、60名体制のときは全体の55%が社員紹介採用でした。採用単価はなんと5.4万円。ただ、関係性を作るための飲み代はかなりかかりました(笑)」

  
 
  
 

広報についての戦略をお聞かせください。

この質問は、セーフィーで広報を務める鈴木氏が答えました。

鈴木氏「5年以上前になりますので、まだ『クラウド』という言葉も認知されていなかったことから、広告で知名度を上げるより、利用者の声の入手・展開に注力すべきと考えました。そこで『企業に3カ月無料でカメラを使ってもらい、感想を聞く』というキャンペーンを展開し、ウェブサイトに『お客様の声』として掲載しました。また、取引先として社名を掲載できない大手のクライアントには、新商品の発表会に参加いただき、その様子をメディアに取り上げてもらいました。このように大企業との関係性をアピールし、製品の信頼性を積み重ねました」

  

DXとスタートアップが日本を元気にする!

佐渡島氏は最後に、日本経済におけるDXやスタートアップの重要性を語りました。「日本は生産年齢人口の減少などが進む『課題先進国』。輸出で外貨を稼ぐことで企業の産業構造を革新し、日本をもう一度奮起させましょう」と、参加者に力強いメッセージを伝えました。