NPO法人生態会が、準会員の株式会社Genonを紹介
関西のスタートアップ約500社のリストから、 関西の起業エコシステムの今が見えるレポートを年4回発行しているNPO法人「生態会」様にて、 REACH REACH会員の準会員である株式会社Genon様が取り上げていただきましたのでご紹介です。
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関西スタートアップレポートで紹介している注目の起業家たち。今回は、PHR(パーソナルヘルスレコード)シェアアプリHifu-Med(ヒフメド)で皮膚科医師-患者間での日常記録を共有し、個別化医療の促進を目指す株式会社Genon高原千晶さんにお話を伺いました。
取材・レポート: 橋尾日登美(生態会 事務局)/八木曜子(生態会ライター)
株式会社Genon 代表取締役 高原千晶(たかはら ちあき) 氏 略歴
1993年生まれ。大阪調理製菓専門学校卒業後、㈱ルピノー入社。先天性のアトピー性皮膚炎と合併症の自家感作性皮膚炎を発病。ドクターストップが2回かかり重度の皮膚疾患者で寝たきりになる。17年 ㈱MonotaROに入社。CS、営業に従事。20年にサービスの準備中に皮膚科クリニックに勤務、問診やクラーク事務を担当しながらサービスを構築後、22年に会社設立。22年5月に即調達し7月にβ版リリース。管理栄養士資格保持。
自身の重度のアトピー経験からテーマが定まる
生態会 八木(以下、八木):
本日はお時間いただきありがとうございます。まずは高原さんのご経歴とGenon設立の経緯を教えていただけますか。
株式会社 Genon高原さん(以下、高原):
もともと遺伝子や栄養学に興味があり、幼い頃から独学で学んでいました。その中でもお菓子づくりは科学のような再現性を感じていて、大阪調理製菓専門学校を卒業後パティシエとして3年勤務しました。
しかし、アトピーの重症化のために1年ほど包帯を全身に巻きながら自宅療養することになり、パティシエを辞めざるを得ませんでした。
退職後、デジタルやネットへの関心があったことから、モノタロウで営業やCSの仕事をしていました。ですが、その間もアトピー症状が安定せず、「私はもういまあるサービスや治療法では治らないから、この肌をテーマに起業しよう」と決め、2020年8月に起業準備を始めました。各種のピボットを経て、2022年1月20日に株式会社Genonの法人登記をしました。
八木:
大変な経験をされたのですね。なぜ直接的に医療の道でアトピーを直す方向に進まず、起業に選んだのですか?
高原:
母が開業医で妹が鍼灸関係など、家族全員が医療関係で、開業が身近な家庭環境で育ちました。そして同じく家族全員が皮膚疾患を持っているため、昔から家庭内で皮膚疾患医療の限界について話す機会をよく持っていました。
「結局医療の道に進んでも眼の前の少人数しか治せない。そのため、広く課題解決したい場合はスタートアップ系に進んだほうがいいのではないか」と家族からアドバイスをもらったこともあります。その影響もあり、スタートアップを選択しました。
肌疾患の遺伝的要因はまだ研究されていない
八木:
初歩的な質問ですが、そもそもアトピーはどうやって起きるのですか
高原:
アトピーはアレルギーなどの外部要因、ストレスと遺伝的要因の3つが関連して発症します。これまでは外部要因とストレスだけ研究されていますが、ゲノムのところまでデータを取ることができていなくて、遺伝的要因の研究が進んでいません。
ようやく最近データ採取や分析が可能になってきたこともあり、将来的には診療とゲノム情報を組み合わせてサービスを作ろうと考えています。
ヒフメドは患者主体の医療サービスなので、このサービスでデータを貯めることにより、将来的に皮膚病を遺伝子の点から解決していくことができると考えています。
実は1年以上ずっと遺伝子検査の事業をしようと挑戦していたのですが、何度もピボットして、ようやく肌に焦点が定まりました。皮膚病は命に直結する診療科ではないがゆえに、皮膚病の遺伝子検査だけではペインが弱いのです。
また遺伝子を扱う場合倫理的問題からサービスとして成立しにくいこともあり、ヒフメドに特化して始めました。これからはヒフメドをメインに、遺伝子事業と両軸にして事業展開していく予定です。
アプリで患者と医者の治療経過共有問題を解決
八木:
そういった経緯からヒフメドに特化されたんですね。ではヒフメドのサービスを詳しくお話してください。
高原:
ヒフメドは皮膚疾患の診療補助パーソナルヘルスレコード(PHR)アプリです。皮膚疾患の日常記録を残すことで…
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